九州地方で超人気のお土産「博多通りもん」をご存じでしょうか。このお菓子が全国レベルで一気に有名になったのは2019年のことです。なんと、あのギネス世界記録に、あんこを使ったおまんじゅうで「1年間で最も売れた商品」として認定されました。2018年度1年間で約6400万個生産され、総売上は75億9126万円に達しました。
「博多通りもん」とは
「博多通りもん」は福岡市博多区に本社を置く明月堂が販売する西洋和菓子です。もちろん明月堂のお菓子のなかでも人気ナンバーワン。モンドセレクション金賞を20年連続受賞していることからも、その実力を計り知ることができます。
あえて西洋和菓子と呼んでいるのは、元来の和菓子の伝統にとらわれることなく、西洋和菓子の素材もセンスよく融合させているから。まさに博多名物を名乗るのにふさわしい和スイーツといえるでしょう。味は白あんをベースに、洋風の原料であるミルクやバター生クリームなどを取り入れています。そのためしっとりなめらかな口当たりに仕上がっていて、ついつい2つ目3つ目と手が伸びてしまうおいしさです。
「博多通りもん」の由来
福岡博多では毎年5月3日・4日に「博多どんたく」という名物祭りが催されます。三味線や太鼓が賑やかに音を立てる中、老若男女が思い思いのどんたく衣装を着て楽しそうに町を練り歩きます。その姿が博多弁で「通りもん(とおりもん)」と呼ばれています。
つまり、和菓子をベースとしつつも洋風の香りもただよわせた、ハイカラな衣装で身を包んだ名月堂のおまんじゅうは、まさに「博多通りもん」というネーミングを負うのにふさわしい、と命名された訳です。
「博多通りもん」誕生秘話
ちなみに、「博多通りもん」は最初から明月堂の看板商品だった訳ではありません。1985年頃には博多西洋和菓子というジャンルのお菓子を作ろうと決めてはいたものの、なかなかヒットにつながる商品が生まれませんでした。
それでも、たくさんのファンの声に押されて、日本中どこにもないまんじゅう、日にちが経つほどにおいしくなるまんじゅう、そして材料はできるかぎり最高の物を使うという課題を掲げて開発を続行。1993年3月8日、晴れて「博多通りもん」が世に送りだされることとなったのです。