人のエネルギー源として欠かせない糖分
近年、和菓子はヘルシーなお菓子であることが認識されてきました。とはいえ、砂糖がたくさん使われていることも事実です。しかし、糖分の取り過ぎは肥満につながりますが、適度な量であれば決して体を害するものではありません。
敬遠されがちな糖分ですが、実は体を動かすために不可欠なエネルギー源。脳はブドウ糖という糖分からエネルギーを確保しています。運動量が多い方はもちろんのこと、勉強やデスクワークで脳をフル稼働させる方にとっても、重要な栄養分といえるのです。
お菓子の中でも和菓子には、洋菓子のようにバターや牛乳などの動物性油脂はほとんど使われていませんから、低カロリー。さらに和菓子によく使われる小豆は、食物繊維が豊富に含まれるなど、健康に良い食品として知られています。
心の栄養も満たしてくれる和菓子
健康に良い材料が多く使われている和菓子ですが、健康に良いから和菓子を食べようと意識している方は少ないでしょう。健康に良いのは大歓迎ですが、私たちがふだんお菓子を食べるのは、体の健康よりも精神的な満足を得ることに重点を置いているのではないでしょうか。
和菓子は古くから日本人に愛されてきた食品であり、食文化を担う重要な役割も果たしています。端午の節句に食べる柏餅の他、地方によってはお正月には花びら餅、6月30日の夏越の祓(なごしのはらえ)に食べる水無月など、年中行事と切っても切り離せない関係があります。
また春は桜餅やうぐいす餅、よもぎ餅、花見団子、夏は涼しげな水ようかん、あじさいの花に見立てた生菓子、梅酒を使ったお菓子など。秋は紅葉、桔梗、毬栗など秋の植物に見立てた生菓子、栗まんじゅうといった具合に、四季折々にマッチした和菓子が店頭に並びます。
和菓子を食べておいしいと満足するだけでなく、和菓子の名前や由来、和菓子が誕生した名所を訪ねるなど会話が弾んだり、旅行の楽しみが増えたりといった、心の栄養が得られるのも和菓子の良いところです。和菓子を食べるひとときが、心の健康につながるのではないでしょうか。