イチゴ大福は和菓子界の異端児?
イチゴ大福は、牛皮に包まれた餡の中に生のイチゴが入った生和菓子です。イチゴが出回る時期だけの期間限定品として販売されることが一般的です。
今では全国的に知名度の高い和菓子となり、その販売店が差別化を図るために餡を変えるほか、生クリームを合わせるなど、さまざまなバリエーションが見られます。
このイチゴ大福を見ると、和菓子としては一風変わったいでたちをしています。これまで和菓子に生の果物を合わせることはなく、白餡に色素を加えて果物の形を作る手法や甘煮を合わせたものがほとんどでした。果物に含まれる水分が和菓子を損ねてしまうからです。イチゴ大福自体も日持ちはしないお菓子ですので、登場したころはかなり「異端」として見られたようです。今では、ぶどう大福やとまと大福といったバリエーションも豊富です。
生まれたのは1980年代後半
イチゴ大福の発祥は1980年後半といわれています。元祖を名乗る新宿の和菓子店、大角玉屋では、昭和60年(1985年)に初めて販売したのが先駆けと考えられています。しかしながら、元祖を名乗る店は全国に点在しているのが現状です。
この大角玉屋はイチゴ大福の製造方法に関して特許を持っていますが、板橋の和菓子店「一不二」では、実用新案登録(考案や発明したことに関する権利)を届け出ています。
イチゴ大福誕生のきっかけは洋菓子から
イチゴ大福が誕生したきっかけは、ショートケーキとされています。当時は平成バブルへ向かう成長期であり、女子大生ブームなどが巻き起こった時期。ショートケーキを好む人が増え、和菓子離れが進んだとされています。
先にも触れたとおり、発売当初は和菓子と生の果物との組み合わせは異端とされていましたが、全国ネットのテレビ番組などで取り上げられるようなってイチゴ大福が大流行しました。和菓子離れが進む中で、イチゴ大福が和菓子業界を活性化させたという理由から表彰を受けた経緯もあるようです。
和菓子のルーツにもいろいろな経緯があります。