和菓子で季節を表現
菓子のなかでも、和菓子ほど季節を大切にしているものはありません。春になれば桜をイメージした上生菓子が店頭に並び始め、秋になると紅葉をイメージした和菓子が並びます。和菓子が季節を表現する方法には大きく分けて2種類あり、1つはその季節にだけ作られる特別な和菓子、もう一つは季節を表現する和菓子です。たとえば、桜餅や水まんじゅうなどは「その季節」にだけ作られ、時期が過ぎると自然に店頭から姿を消します。反対に、白あんを用いた生菓子の練り切りなどは一年中店頭に並んでいますが、使用される食材は同じものの、見た目の変化で季節を表現して楽しまれています。
和菓子と季節の深い関係
和菓子と季節には深い関係があり、季節の変わり目として1年を24に分ける「二十四節気」から、さらに5日ごとに分けた72種類の「七十二候」を基準にして作られることが特徴です。たとえば、1月は花びら餅と呼ばれる薄いピンク色のお餅を使用したもの、2月は花衣(はなごろも)と呼ばれる梅をイメージした上生菓子が代表的です。4月には桜をイメージしたものが多く店頭に並びますが、中でも桜餅は最も有名です。桜餅は江戸時代に作られ、庶民にも愛された古くから身近にある和菓子です。10月には栗きんとんが作られることが多いですが、上生菓子においての栗きんとんは、お正月に食べるおせちに入っているものとは違うため、要注意です。
他にも、お正月やお彼岸などの時期に合わせて作られる和菓子もあります。たとえば、お彼岸ではおはぎやぼたもちが代表的ですが、春はぼたもち、秋はおはぎと決められています。これは春は牡丹の花、秋は萩の花に由来しているからだと言われています。
和菓子は5日ごとに変化する気候に合わせた、72種類の「七十二候」に沿って作られるのですから、店舗に並ぶお菓子も気がつくと変わっていることがほとんどです。せっかく和菓子に興味があるのでしたら、頻繁に足を運び、季節の移り変わりを楽しむのもおすすめです。