和菓子をおいしく食べるための魔法の道具
和菓子を少しでも風味よく食べたいという場合は、菓子きりや菓子楊枝などの道具にこだわってみましょう。懐紙の上に和菓子を乗せ、和菓子を切り口へ運ぶための道具を準備してはいかがでしょうか。竹製やステンレス製のものが手に入りやすく持ち運びやすいのですが、「黒文字（くろもじ）」で作られた菓子楊枝をおすすめしています。お茶会などでは、和菓子のパワーを引き出し、おいしく食べるための魔法の道具として珍重されています。
黒文字が「魔法の道具」の理由
黒文字は、クスノキ科の落葉低木の「クロモジ」の枝から作られています。樹皮の模様である黒い斑点が文字のように見えるため、菓子楊枝に関しては「黒文字」と漢字表記されます。黒文字の樹皮には、オレンジに近い柑橘系の芳香があるのがその理由です。
黒文字は亭主が水で清めて、懐紙で拭いてからお菓子とともに客人に出すことが作法の一つです。黒文字は水に濡らすことで、色が鮮やかに出ますし、柑橘系の芳香が感じられるようになります。また、切り分けた和菓子同士がくっつかないようにするための心遣いでもあるようです。
お茶請けに出される和菓子は、「単に甘い」だけのものが多いのですが、黒文字の芳香と一緒に口に運ぶことで、風味が変わります。甘いものが続きそうな場合でも、香りが手助けしてくれます。和菓子を切り分ける際にも芳香が移るので、二口目以降お茶を飲んだ後の味もまた違った風味が楽しめます。
黒文字の楽しみ方
お茶席で出された黒文字は、懐紙に包んで持ち帰るのがマナーです。何度か使えますので、自宅でも菓子楊枝として楽しんでみてはいかがでしょうか。
お茶席で持ち帰った黒文字には、日にちやお茶会の場所などを記載してコレクションされる方もいるそうです。このような思い出作りも楽しみのひとつです。
また、サイズもいくつかそろっているので、菓子の大きさに合わせてそろえておくのも一案です。自宅で和菓子を楽しむときに役立ててみましょう。
