寒天は和菓子の隠れた主役
夏の生和菓子や羊羹など、和菓子の世界には欠かせないのが寒天です。透明感が高く、涼やかなイメージもあれば、羊羹のようなずっしりと存在感があるお菓子などに使われます。メイン材料として使われることもあれば、お菓子のつなぎとして使われることもあり、寒天は和菓子界の隠れた主役といっても差し支えないでしょう。寒天を使った和菓子を探してみると、思った以上にいろいろあることがわかります。
寒天の隠されたパワーとは
寒天は天草(てんぐさ)やオゴノリという海藻類から作られています。海藻を煮込んで裏ごしした液体を固め、裁断したものを凍結と乾燥を繰り返し、水分を抜く作業を行います。冷凍技術も向上し、機械生産も行われるようになりましたが、岐阜県などで作られる手作業の寒天は、冬場が最盛期となります。市販品でおなじみの棒寒天のほか、糸状の糸寒天、粉末状の粉寒天などさまざまな加工品があります。
寒天自体はゼロカロリー。また食物繊維が豊富なのでお通じの改善に役立ちます。海藻が持つミネラル分が豊富なので、体の調子を整えることも可能です。寒天を食べると、体内の糖質の吸収が穏やかになる効果があるといわれています。血糖値の上昇が気になる方や食べた後の脂肪への転換が気になる人は、寒天のパワーを受け取ってみてはいかがでしょうか。
寒天の透明感の秘密
錦玉羹(きんぎょくかん)のように、透明度が高くすっきりとした和菓子を寒天で再現することができないという人も見られます。
単純に寒天を煮溶かして固めるだけではなく、グラニュー糖を水と同じ分量だけ煮溶かすことが透明度を上げる秘訣です。例えば、4グラムの糸寒天に対し、水160ccとグラニュー糖160グラムを合わせて煮溶かすといった具合です。レシピによっては、水あめをプラスすることもあります。上白糖(白砂糖)では不純物があるため、錦玉羹の透明感は出せず、精製されたグラニュー糖を使うことがよいとされています。
しっかりと冷やして食べることで、甘さも感じにくくなります。また、ごく少量の寒天液を固めて作るので1個当たりのカロリーも低めです。